つなぎ融資とは?
一口に住宅の購入と言っても、新築マンションや中古マンション、建売住宅、中古の一戸建て、注文住宅新築など、様々な住宅形態がありますが、購入に際してはほとんどの方は住宅ローンを利用しています。
購入が新築や中古マション、建売住宅、中古の戸建てのように、すでに建っているものについては住宅ローンだけ申し込みめば支払いが出来ますが、注文住宅の場合は、まず土地の取得から始めなければなりません。土地や建物がまだ決まっていない場合、住宅ローンを組む事はできません。
≪目次≫
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つなぎ融資とは
つなぎ融資で借りている間は、金利のみを支払い、建物引渡し時に実行される住宅ローンで精算するという流れになります。また、住宅ローンの実行時期と引渡しが同時にできない場合がありますが、この場合でも引渡しを受けるために、つなぎ融資を利用する事があります。
土地購入から引き渡しまでの流れ
注文住宅の場合、マンションや建売住宅と違い、資金を数回に分けて支払う事になります。支払い条件によって変わりますが、ほとんどの場合、完成までに3~5回に分けて支払いが発生します。
土地の購入費用
↓
着工金
↓
中間金(上棟時など)
↓
竣工(しゅんこう:完成後)引き渡し代金
と言うように分けて支払う場合が多いです。
肝心の住宅ローンの実行が引き渡し後になるので、工事が完成して引き渡しを受けるまでの費用は、つなぎ融資を利用する場合が多いです。
住宅ローンの契約は建物の完成後
住宅ローンの契約はなぜ完成後でなければならないのかと言うと、住宅ローンは建物と土地を担保にして借入契約を結びます。マンションや建売住宅、中古住宅の場合は、すでに土地と建物があるので、それに抵当権(担保にする)の設定が出来るため、購入前に住宅ローンの契約が出来ます。
しかし注文住宅のように、これから家を建てる場合、契約を結ぶ段階では担保になる土地や建物がありません。当然ながら、担保にする建物がないため、ローンを融資してもらうことができません。
そこで、建物の工事が着工してから物件を担保にしてローンを正式に実行する間、つなぎで借入れを行うという事になります。その他つなぎ融資は、融資の実行までに時間がかかる場合や、物件の引き渡しまでに融資が間に合わない場合に利用される事があります。
つなぎ融資が可能な金融機関を探す
着手金や中間金を自己資金で補えなければ、つなぎ融資を利用すればよいのですが、ここで注意が必要なのは、どこの金融機関でも申し込みが出来るというものではなく、つなぎ融資が可能な金融機関が限られているという事です。
そこで、着手金や中間金を自己資金で用意できないという場合、住宅ローン選びは、まず「つなぎ融資」が利用できるかどうかで選択する必要が有ります。金利面などでどんなに有利な金融機関があっても、「つなぎ融資」が利用できなければ何の意味もありません。
一般的につなぎ融資は、住宅ローンとの関連もあるので、住宅ローンを組みたいと思っている金融機関と契約する場合が多いです。
つなぎ融資と住宅ローンはトータルで比較する
住宅ローンの借入れ先を探す時は、つなぎ融資と通常の住宅ローン、両方の条件を比較して申し込み先を決める事が重要です。なぜなら、つなぎ融資の金利が他の金融機関より安くても、通常の住宅ローンが高ければ、トータルで高額になる可能性があります。
そのため、つなぎ融資の利息の安さだけを比較するのではなく、その後の住宅ローンの利息も考慮して金融機関を決める事が大切です。
つなぎ融資の利息計算
つなぎ融資の利息の相場は2%後半が多いですが、金融機関で事前に確認しておきましょう。
たとえば2,000万円を金利2.5%で完成までの180日間借りたとすると
- 土地代金の費用を1,000万円とした場合の利息は
1,000万円×2.5%÷365日×180日=123,290円となります。
- 着工金の500万円を4カ月の借入とすると、
500万円×2.5%÷365日×120日=41,100円
- 中間金(上棟など)500万円を2ヶ月の借入とすると
500万円×2.5%÷365日×60日=20,550円となり、住宅を購入する際にかかる資金をつなぎ融資にすると、借りた日数に応じて費用がかかるので、これらの利息を合計すると、以下の金額になります。
123,290円(土地取得費用)+ 41,100円(着工金)+ 20,550円(中間金)=184,940円
を用意する必要が有ります。
つなぎ融資に発生する金利以外の費用
つなぎ融資を利用すると、利息以外に手数料などの費用が必要になります。
- 申し込み手数料 5万~10万円(金融機関によって違うので確認する必要があります。
- 収入印紙代 100万円~500万円は2,000円、500万円~1,000万円は10,000円、1,000万円~5,000万円は20,000円
- 印鑑証明・住民票 1通400円~800円
など、つなぎ融資の金利以外に必要になります。
つなぎ融資の金額が2,000万円と仮定すると、かかる費用は金利を除いて10万円程度の費用がかかります。これを先ほどの金利(184,940円)と合計すると、約29万円程度の資金が必要にななります。
尚、つなぎ融資を利用した場合、元金は後日住宅ローンの融資金が入った時にそこから支払う事になりますが、利息や諸費用は先に払う必要が有ります。
つなぎ融資の費用を抑える方法
先ほどの例を見ると、つなぎ融資は金利と手数料で数十万円単位の費用が必要になります。そこで住宅ローン以外にこのお金を用意しなければなりませんが、出来れば無駄な費用は抑えたいと誰もが思うところです。
つなぎ融資を少しでも安く抑える方法はあります。その方法は、つなぎ融資は日割りで計算されるので、日数が短ければ短いほど、利息が少なくなり、長くなればなるほど利息が多くなります。ですから、つなぎ融資の費用を抑える方法は、できるだけ借入日数を短くする事で利息を抑える事が出来ます。
ただし、これは自分だけで決められる事ではなく、工事会社との兼ね合いがあるので、事前に工務店やハウスメーカーへ相談する必要があります。また、土地代や着工金など、自己資金で支払う分が増えれば、つなぎ融資の借入費用は少なくなりますし、借入期間を短くする事もできます。
また、つなぎ融資を実行するタイミングは、出来るだけ無駄な時間を取られないようにする事もポイントです。たとえば、つなぎ融資で借りる日にちと、支払いの日にちの間を出来るだけ少なくなるように、金融機関や業者と日程調整をおこなえば、無駄な日数を減らす事も出来ます。
つなぎ融資を利用しない方法
つなぎ融資は立派なローンですから、手続きをしなければ借りられませんし、借りる為には利息を支払う必要が有ります。
土地から購入する場合は、自己資金のすべてを土地購入に使ってしまうのではなく、建物の着工金や中間金にまわせば、つなぎ融資を利用せずに済ませられます。また、着工金や中間金をいくら支払うかは、工務店との交渉になるので、手元にある自己資金の範囲内で収まるように依頼すれば、つなぎ融資を利用せずにすみます。
つなぎ融資ではなく、銀行によっては住宅ローンを分割融資してくれるところが有ります。
代理受領を利用する
代理受領とは、建築代金支払前でも建築登記を認めるというものです。この代理受領が認められれば、登記を先に行うことができるので、住宅ローンもスムーズに実行されますが、金融機関と工務店や建築会社の合意が必要になります。
お金の流れとしては、金融機関から直接住宅販売会社や建築会社などに支払われるので、契約者を直接介さないことになります。
ただし、すべての住宅メーカーが認めているシステムではありません。利用者にとっては、有利な制度ですが、建築会社にとってはリスクがあるためです。
すまいとマネープランを利用する。
また、つなぎ融資を使わずに、出来高に応じて支払いをする「すまいとマネープラン」があります。「すまいとマネープラン」は工事を始める前に、住宅ローンの全額融資を受けられるので、つなぎ融資を利用する必要はありません。
また工務店が倒産した場合でも、完成までの完全サポートもついているサービスなので、より安心を求めるのであれば、こういったサービスを利用する事をおすすめします。ただし、利用できるところが限られているので、事前の確認が必要です。
・「すまいとマネープラン」の支払い方法
「すまいとマネープラン」は、独自の支払い方法を採用しています。すまいとの調査員が建築過程のチェックを行い、進捗状況に応じた建築代金を、出来高払いで工務店に支払ってくれるというものです。
例えば、工事が50%済んだ時点で調査が行われるとすると、すまいとの調査員が建築中の建物のチェックを行い、工務店の言うとおり50%に値する出来高と査定されれば、建築代金の50%が支払われます。そこで、40%しかないと判断された場合は、40%分が支払われます。
ここでいう50%とは、進捗状況ではなくかかった費用(人件費や材料費など)も含めての事です。この方法だと、仮に建築中に工務店が倒産しても必要な資金は残るので後は、すまいとが別の工務店を探してきて、住宅を完成させることができるのです。
すまいとのデメリット
すまいとを利用する際は、工務店の了承が必要です。支払い方法がすまいの独自の方法になるので、工務店によっては拒否されるかもしれないので、まず、工務店にすまいを利用しても良いかどうかの確認をとる必要があります。
住宅ローンの融資は建築が始まる前から実行されるので、建築前からローン(土地代+建築代)の返済が開始される事になります。そのため、生活費の確保と、ローンの返済がうまく両立できるように計画を立てておく必要があります。
その他にも、すまいとへ支払う費用が発生し、信託口座設定料として63,000円を払う事になります。また、支払手数料として建築請負工事代金の1%が信託口座から引き出されます。
「すまいとマネープラン」のおおまかな流れ
基本的に、土地の購入を決め、建ててもらう工務店を探してから、すまいとと金融機関で契約する流れになります。
- 住宅を建てようと思う土地を決めます。
- 工務店と設計や契約の打ち合わせをします。
- すまいとと金融機関に住宅ローンを申し込み、審査を受けます。
- すまいとに建築計画関係の書類を提出します。
- 住宅ローンが実行されます。
- 融資金で土地代を支払います。
- 土地代を支払った残りのお金を全てすまいとに預けます。
- この時、用意した自己資金も一緒に信託口座に振り込まれ、以降はすまいとが管理します。
- 工事が着工したら「すまいと」工事の進捗状況を確認し、その出来高に応じた支払いをします。
- 住宅が完成すれば、すまいとから工務店へ残金を支払うという流れになります。
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つなぎ融資におすすめの銀行?
フラット35の利用者だけを対象にしたつなぎ融資を行っているおすすめの銀行は
銀行名 | 商品名 | 金利/融資限度額 | 利用条件 |
---|---|---|---|
イオン銀行 | フラット35つなぎ | 固定金利
50万円以上8,000万円 |
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楽天銀行 | つなぎローン | 1.08%
2,000万円以内 |
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みずほ銀行 | フラット35つなぎローン | 変動金利方式
融資承認額 |
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三井住友銀行 | つなぎローン | 固定金利
原則400万円まで |
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ARUHI | フラットつなぎ | 3,475%
100万円~8,000万円 |
ARUHIフラット35・ARUHIフラット35(リフォーム一体型)・ARUHIフラット35パッケージ(ARUHIフラット35、ARUHIフラットα)の融資申込者で、建築計画 または、中古住宅購入に伴うリフォーム計画が決定した審査承認済の方で、住宅金融支援機構による住宅融資保険の付保審査が承認となった方 |
基本的につなぎ融資は、住宅ローンを組む金融機関のものしか利用できないので、予定している金融機関が、つなぎ融資を取り扱っているか確認する必要があります。
現状ではつなぎ融資が必要ない状況であっても、万が一つなぎ融資を利用しなければならない時の事を考えて、出来るだけつなぎ融資が可能な住宅ローンをおすすめします。
まとめ
しかし、つなぎ融資は、手数料や金利も支払う必要があるので、つなぎ融資はこの点がデメリットになります。
そこで、住宅ローンを分割融資してくれる銀行を利用する事や、代理受領を認めてくれる建築会社が利用できれば、つなぎ融資を不要にする事ができます。
最近は諸費用含めてすべてをローンに組み込む人も多いですが、出来る事なら早めに計画を立て、分割融資が可能な銀行や代理受領が可能な銀行や工務店を探す事もひとつの方法です。
しかし、建設費用を抑える最も確実なのは頭金を用意する事です。頭金が用意出来れば、不要な費用も発生しませんし、何よりローンの借入が少なくなるので、利息を含めた総返済額を少なくする事が出来ます。
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