年金受給者でもお金を借りることはできる?

年金受給者でもお金を借りることはできる?

平成23年のデータによると、日本人の平均寿命は、男性が約80歳、女性が約86歳だそうです。仮に65歳で定年を迎えて退職しても、その後20~25年は生活を続けていかなければなりません。

 

高齢者になれば、体調に異常を感じて、病院通い、悪くすると入院しなければならなくなり、高額の医療費が必要になる事もあります。また、元気な時に立てたマイホームも、リフォームをしたり、バリアフリーに改装したりと、生活費以外にお金が必要になります。

 

定年を迎えても貯蓄や厚生年金などの老後の資金があれば安心して生活を送れますが、皆がそうとは限りません。お金が無ければ借りる事を考える必要が有りますが、年金生活者がお金を借りる方法として「年金担保融資制度」という制度があるので、心配する必要はありません。

 

 

≪目次≫

  1. 年金担保融資制度とは
  2. どんな時に利用できる?
  3. 資金用途の確認資料を用意する。
  4. 利用できない人
  5. 融資条件
  6. 融資額と利率
  7. 申し込みに必要な書類
  8. 返済方法
  9. 申し込みから融資までの流れ
  10. まとめ

 

 

年金担保融資制度とは

「年金担保融資」とは、国民年金、厚生年金保険または労働者災害補償保険の年金を担保として融資することが法律で唯一認められた制度で、申し込みが出来るのは独立行政法人「福祉医療機構」になります。

 

利用目的は大きく分けて、

  • 保健や医療
  • 介護福祉
  • 住宅改修
  • 冠婚葬祭
  • 生活必需物品の購入

などで必要な費用を、一時的に融資が受けられる制度です。

 

資金使途 具体的な利用目的
保健・医療 ・疾病の予防に必要な経費

・負傷及び疾病の療養に必要な経費
・出産に必要な経費
・その他、保健・医療に必要な経費

介護・福祉 ・介護・福祉に係るサービスの利用に必要な経費

・介護・福祉に係る物品の購入に必要な経費
・その他、介護・福祉に必要な経費

住宅改修 ・住宅の改修等に必要な経費

・住宅や土地の購入に必要な経費
・住居の引越しに必要な経費

教育 ・教育や学習等に必要な経費
冠婚葬祭 ・冠婚葬祭などで必要な経費
事業維持 ・債務整理などの返済に必要な経費
債務整理 ・債務整理などの返済に必要な経費
生活必需品の購入 ・生活に必要な耐久消費財の購入に必要な経費

 

どんな時に利用できる?

年金担保融資制度を利用できるのは以上が利用できる用途ですが、借入申し込みの際に、資金の使いみちや、必要額が分かる見積書等の書類を提出が求められ、利用目的の確認をされるので、目的がわかる書類の提出が必要になります。

 

ただし、融資額が10万円の場合は、見積書等の書類の提示は不要です。

 

資金用途の確認資料を用意する。

 

利用目的が確認できる資料とは

資金使途 確認資料
保健・医療
  • 入院や手術・治療・検査・薬剤費に要した請求書、領収書
  • 現在通院、治療をしていることが確認できる資料

    (入院計画書、手術同意書等)

  • 診断書、通院の予約券、薬剤の処方箋または説明書
  • 医療用・健康用器具購入にかかる見積書や請求書、カタログ、パンフレット、領収書
介護・福祉
  • 介護施設、介護サービス等に要した利用料金の請求書、領収書
  • 現在利用中の場合や、今後利用予定の介護施設、介護サービス等は金額が記載されていなくても介護サービスの利用が確認できる資料(サービス計画書(ケアプラン)など)
  • 介護施設の入居一時金にかかる見積書、請求書、カタログ、パンフレット、領収書など
  • 介護用器具購入等にかかる見積書、請求書、カタログ、確認資料
住宅改修
  • リフォーム工事の見積書や請求書または領収書
  • 住宅、土地購入にかかる見積書や領収書など
  • 引越費用にかかる見積書や請求書、または領収書など
教育
  • 入学金、授業料にかかる入学案内書や請求書、領収書
  • 資格取得、学習経費にかかる見積書や請求書、申し込み書、カタログ、パンフレット、領収書など
冠婚葬祭
  • 冠婚葬祭費用にかかる見積書や請求書、案内書、カタログ、パンフレット、領収書など
事業維持

(起業も含む)

  • 事業の原材料仕入れにかかる見積書、請求書、領収書
  • 事業用設備等の購入、維持経費にかかる見積書、請求書、カタログ、確定申告書、領収書、など
  • 事業計画書
  • 事業用車両の購入 ( 取得時の税金を含む )、維持費にかかる見積書、請求書、カタログ、領収書など
債務整理
  • 債務契約書
  • 返済計画 ( 予定 ) 表
  • 家賃、光熱水費、税金支払いにかかる滞納請求書、領収書など
生活必需品の購入
  • 物品購入にかかる見積書、請求書、カタログ、パンフレット、領収書など

等になります。

 

確認資料で注意しなければならないのが、

  • カタログ、パンフレットは、金額の表示があるもので、資料に金額の表示がない場合には別に金額表示のある資料が必要になります。
  • 融資額が10万円の場合、確認資料は不要です。
  • 物品購入などを目的とした申し込みで、確認資料が領収書になる場合は、領収書の有効期限は発行後3カ月以内のものに限られます。

 

ただし、すでに支払いを完了しており、あらためて同等の物品などを購入する場合の領収書は、この限りではありません。

 

利用できない人

年金担保融資は年金を受給していれば誰でも申し込みが出来る、と言うものではありません。

  • 現在生活保護を受けている方
  • 生活保護の廃止をしてから5年間を経過していない人
  • 特別支給の老齢厚生年金を受給していた方で、65歳時の年金決定手続期間中の方
  • 現況届または定期報告書が、未提出または提出遅延の方
  • 年金の支給が、全額停止されている方
  • 同一の年金で借入残高がある方
  • 反社会的勢力に該当する方や、反社会的勢力と関係を有する方、または反社会的勢力に類する行為を行う方
  • 利用目的が生活資金や旅行の方。
  • その他、独立行政法人福祉医療機構の定めによる方

のいずれかに該当する方は、融年金担保融資資を受けられません。

 

融資条件

融資が受けられる方は次の年金証書を持っている方で、なおかつ、その年金を受給している方が対象になります。

  • 国民年金証書
  • 厚生年金保険年金証書
  • 国民年金・厚生年金保険年金証書
  • 船員保険年金証書
  • 労働者災害補償保険年金証書
  1. 注-1→厚生年金基金や国民年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金から支払われる年金は、融資の対象外になります。
  2. 注-2→老齢福祉年金や特別障害給付金は、融資の対象となりません。
  3. 注-3→石綿健康被害救済法に基づく特別遺族年金は、融資の対象となりません。

 

融資額と利率

限度額

融資限度額は3つの要件を満たす額の範囲内になります。

  1. 10万円~200万円の範囲内で、資金使途が「生活必需物品の購入」の場合は、10万円~80万円の範囲内になります。
  2. 限度額は受給している年金の0.8倍以内(年額。所得税額に相当する額を除く。)
  3. 1回あたりの定額返済額の15倍以内(おおむね30回の返済で元金返済が完了する事になります)
  • 融資利率は、年金担保融 資の場合は、年1.9%(平成28年4月1日現在)
  • 労災年金担保融資の場合は、年1.2%(平成28年4月1日現在)

となっています。

 

保証人については、連帯保証人が必要となります。なお、信用保証機関による信用保証制度を利用する事も可能です(ただし保証料が必要になります)その場合、公益財団法人年金融資福祉サービス協会の保証になります。

 

申し込みに必要な書類

申し込みに際して用意しなければならない書類が有ります。

  1. 借入申し込み書

    取扱金融機関にて用意しています。

  2. 年金証書

    「年金の受給権」が担保になるので、年金証書は借入申し込み時に取扱金融機関へ預ける事になります。

  3. 年金支給額を証明する書類

    各年金の支払いや振込、決定などの支給額が解る通知書が必要です。

  4. 実印、印鑑登録証明書(3カ月以内のも)
  5. 本人確認書類
  6. 運転免許証や身体障碍者手帳、マイナンバー、住民基本台帳カード、パスポートなど、どれか一つが必要です。

 

返済方法

返済方法は、年金支給機関から直接、独立行政法人福祉医療機構に支払われる事になっています。

 

年金支給機関から偶数月に支給される年金のうち、1回あたりの下限は1万円、上限は支給額の3分の1以内で、申し込み者が指定した返済額になります。

 

年金の支給は、年金支給額から返済額を差し引いた金額を「返済剰余金」 として指定した預金口座に振り込まれます。

 

申し込みから融資までの流れ

申し込み手続きは、「独立行政法人福祉医療機構代理店」と表示された金融機関で申し込みできます。

 

なお、ゆうちょ銀行や労働金庫、農協等は、年金担保融資の取扱いを行っていないので、注意が必要です。

 

相談から融資までの流れ

 

相独立行政法人福祉医療機構年金貸付課または取扱金融機関で相談します。

取扱金融機関にて申し込み手続きを行います。

申し込み完了後審査があります。

融資決定となると取扱金融機関から審査結果や実行日が知らされます。

融資実行日に指定口座へ振込されます。

(申し込みから融資まで4~5週間は必要です)

 

まとめ

年金受給者でも、アルバイトやパートをしていれば、消費者金融や銀行カードローンでも申し込みは出来ますが、ネックになるのが年齢制限です。

 

消費者金融の場合は69歳まで、銀行カードローンの場合は65歳までと言うところが多く、年金以外に収入があっても、年齢制限ではねられてしまいます

 

ですから、年齢が70歳に近い人や超えている方、年金だけで生活をしている方は、この「年金担保融資制度」がおすすめです。ただ、申し込みから融資までが4~5週間必要なので、余裕をもって申し込む事がポイントです。


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