市役所でお金を借りるには?

市役所でお金を借りるには?

 

お金を借りる方法で、もっとも手短に借りられる方法は、消費者金融のキャッシングや、銀行カードローンを利用している方が少なくありません。

 

キャッシングやカードローンは申込も簡単で、少額であれば運転免許証や健康保険証があれば、申込をしたその日に借りるという事が理由のひとつです。

 

ただし、これらを利用するには、安定した収入がある事を条件としているところが多いので、現在求職中の方や、身体に障害があり、働けない方、高齢者の方は利用する事が出来ません。こういった方は「お金が必要になっても借りるところがないので心配」と思われがちですが、心配する必要はありません。

 

あまり広くは知られていませんが、公的制度として、消費者金融や銀行のカードローンを利用できない人がお金を借りられる「生活福祉資金貸付制度」があります。経済的に苦しい人が対象になる制度なので、民間の金融機関では考えられないほど低金利でお金が借りられます。

 

この制度を管轄しているのが厚生労働省で、窓口になっているのが都道府県や市町村の社会福祉協議会になります。社会福祉協議会は都道府県や市町村の庁舎に事務所があるので、「市役所でお金が借りられる」と思っている方も多いようです。

 

生活福祉資金貸付制度はどんな制度?

生活福祉資金貸付制度は、都道府県社会福祉協議会が行っている公的な融資・支援制度で、生活資金を、他から借る事が困難な方や、障害者世帯、高齢者世帯などを対象に、必要な生活資金などを、一時的に融資してくれる制度の事で、経済的に苦しい人を対象にした融資制度なので、民間の金融機関では考えられないほどの低金利で利用できます。

 

この貸付制度が利用できるのは?

この制度の貸付対象は個人ではなく、世帯が対象になります。

 

  1. 低所得者世帯:必要な資金を借り受けることが困難な世帯で、必要な支援が受けられれば自活できる世帯(市町村民税非課税程度の世帯)
  2.  

  3. 障害者世帯:身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人が同居する世帯
  4.  

  5. 高齢者世帯:65歳以上の高齢者で、日常生活において、療養または介護を要する高齢者などと同居する世帯

 

生活福祉資金貸付制度は、大きくわけて4種類の資金貸付があるので、お金の用途に合わせて申し込みます。

 

 

生活福祉資金貸付の種類
1,総合支援資金
支援の種類 用途 貸付限度額
生活支援費 生活再建までの間に必要な生活費
  • 二人以上の世帯は月20万円以内
  • 単身世帯は月15万円以内
  • 貸付期間:原則3月、最長12月以内(延長3回)
住宅入居費 敷金や礼金など、住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用 40万円以内
一時生活再建費 生活を再建するために一時的に必要な費用
  • 日常生活費で賄うことが困難な費用
  • 就職・転職を前提とした技能習得に要する経費
  • 滞納している公共料金等の立て替え費用など
60万円以内

 

 

2,福祉資金
福祉費
  • 生業を営むために必要な経費
  • 技能習得に必要な経費や、その期間中に生活を維持するための必要経費
  • 住宅の増改築、補修などに必要な経費
  • 福祉用具等の購入に必要な経費
  • 障害者用自動車の購入に必要な経費
  • 負傷又は疾病の療養に必要な経費やその療養期間中の生計を
  • 維持するために必要な経費
  • 介護サービス、障害者サービス等を受けるのに必要な経費や、その期間中の生計を維持するために必要な経費
  • 災害を受けたことにより臨時に必要な経費
  • 冠婚葬祭に必要な経費
  • 住居の移転や、給排水設備等の設置に必要な経費
  • 就職、技能習得に必要な経費
  • その他日常生活上一時的に必要な経費
580万円以内(資金用途に応じて上限が変わってきます)
緊急小口資金 緊急かつ一時的に生計を維持する事が困難となった場合 10万円以内

 

 

3,教育支援資金
教育支援資金は、教育費を必要としている世帯のための貸付制度なので、教育費目的でなければ利用できません。
教育支援費 低所得世帯の子供が高等学校や大学、又は高等専門学校に就学するのに必要な経費
  • 高校:月3.5万円以内
  • 高専:月6万円以内
  • 短大:月6万円以内
  • 大学:月6.5万円以内

※特に必要と認める場合は、上記各上限額の1.5倍まで貸付可能

就学支度費 低所得世帯の子供が高等学校や大学、又は高等専門学校への入学に必要な経費 50万円以内

 

 

4,不動産担保型
低所得の高齢者世帯に対して融資をする制度です。
不動産担保型生活資金 低所得の高齢者世帯に、居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金
  • 土地の評価額の70%程度
  • 月30万円以内
  • 貸付期間

借受人の死亡時までの期間又は貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間

要保護世帯向け不動産担保型生活資金 要保護が必要な高齢者世帯に対し、居住用不動産を担保として生活資金を貸付ける資金
  • 土地及び建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)
  • 生活扶助額の1.5倍以内

 

福祉貸付を受けるための条件は?

総合支援資金・福祉資金・教育支援資金の申込は、条件をすべて満たす必要が有ります。

 

低所得世帯

基本的に「市町村民税非課税程度」の人になりますが、具体的には各市町村で確認する必要が有ります。

 

他の制度を利用できない

生活保護、失業保険、傷病手当金、住宅支援給付、奨学金、母子寡婦福祉資金などが利用出来ない世帯の事で、これらが利用できる方はこちらを優先するように勧められます。

 

返済の見込みがある事

当然の事ですが、返済の見込みのある世帯でなければ融資は受けられません。
社会福祉協議会の担当者が面談で返済する意思があるかどうかを判断します。

 

福祉貸付を申込む都道府県に住んでいる事

福祉貸付は、住民票がある都道府県でしか申込みできません。
ただし、総合支援資金の場合は、現在住居がなくても、(住民票がある都道府県内に)住居が確保できる見込みなら申請は可能です。
たとえば失業などで社宅や寮から出て住居がない方は、先に「住宅支援給付」を受けて、住まいを確保する必要があります。

 

福祉貸付の連帯保証人になっていない事

すでに福祉貸付の連帯保証人(第三者保証人)になっている方は申込みできません。

 

総合支援資金を受けるための追加条件

総合支援資金を利用する場合は、共通の条件に加えて、下記の条件を満たす必要が有ります。

  • 以前は仕事をしていたが、現在は失業している方。
  • 申請時の年齢が65歳未満の方で、申込者の年齢が65歳未満である事が条件ですが、60歳以上の場合は「仕事を離れて1年以内」「新しい仕事に就く意欲がある」「生活支援費の返済を3カ月以内に返せる見込みが有る」方になります。
  • 自営業や会社経営者以外の方
  • 生活保護を受けていない方
  • 公的年金を受給していない方

 

所得が低くても利用できない場合もある?

生活福祉資金貸付には当然貸付の場合には審査が有り、「返せる見込みがない」と判断されると生活に困っていても制度を利用する事は出来ません。

  • 収入がない、あってもかなりの低収入(返済が見込めない)
  • 多重債務者になっている人
  • 住居が確保できていない、または確保が見込めない人
  • すでに生活保護や失業給付を受けている。
  • 他の貸付制度を利用できる人(失業給付や老齢年金など)

の人は、基本的この制度は利用出来ません。

 

申込には何が必要?

生活福祉資金貸付制度を申込む時は、多くの書類を用意しなければなりません。

 

必要書類として、

  • 世帯の状況がわかる書類(住民票など)
  • 借りる人の本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)
  • 給与明細、源泉徴収票、通帳の写しなど
  • 税金の納付がわかる書類
  • 連帯保証人の給与明細、源泉徴収票、通帳の写しなど
  • 債務状況がわかる書類
  • そのほか社会福祉協議会が指定する書類

そのほかにも、教育支援費の場合は在学証明書、住宅入居費なら賃借契約書などが必要になります。

 

これらすべての書類を用意しなければならないという事ではないので、相談にいった時にどの書類を用意すればよいのかを確認しましょう。

 

生活福祉資金貸付制度の貸付条件は?

ほとんどの資金は連帯保証人がいれば無利子で利用できます。

 

資金の種類貸付け条件
資金の種類 償還期限 貸付け利子 連帯保証人
総合支援資金:生活支援費/住宅入居費/一時生活再建費 据置期間経過10年以内
  • 連帯保証人あり無利子
  • 連帯保証人なし年1.5%
原則必要ただし、連帯保証人なしでも貸付可
福祉資金:福祉費 据置期間経過後20年以内
  • 連帯保証人あり無利子
  • 連帯保証人なし年1.5%
原則必要ただし、連帯保証人なしでも貸付可
福祉資金:緊急小口資金 据置期間経過後12月以内 無利子 不要
教育支援資金:教育支援費/就学支度費 据置期間経過後20年以内 無利子 原則不要

※世帯内で連帯借受人が必要

不動産担保型生活資金:不動産担保型生活資金/要保護世帯向け不動産担保型生活資金 据置期間終了時 年3%、又は長期プライムレートのいずれか低い利率
  • 不動産担保型生活資金:必要※推定相続人の中から選任
  • 要保護世帯向け不動産担保型生活資金:不要

 

生活福祉資金貸付制度と生活保護制度の違い

両制度の違いは、「低所得者世帯などに対し、低金地利または無利子での資金の貸付けと、必要な援助指導を行うことにより、経済的な自立や生活意欲の助長促進、在宅福祉や社会参加を図り、その世帯の安定した生活を確保することを目的としているのが、生活福祉資金貸付制度で、この制度は貸付なので返済する義務があります。

 

生活保護は、日本国憲法第25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定められています。

 

この理念に基づいたのが生活保護法で、「生活に困っている人々に、最低限度の生活を保障し、その人々が自分の力で生活していけるよう援助すること」と言うのが生活保護で、生活保護費は給付なので返済する必要がない、というところに大きな違いがあります。

 

申込条件は、生活福祉資金貸付制度の場合は、低所得者世帯、障碍者世帯、高齢者世帯のいずれかになります。

 

生活保護の申込条件は、援助してくれる身内や親せきがいない、資産を持っていない、病気や怪我で働けない人で、毎月の収入が厚生労働省の定めた最低生活費を下回っている人になります。

 

まとめ

生活福祉資金貸付制度「お金がないから貸して」と言うだけでは駄目で、職に就こうとする努力や、積極的に自立したいという姿勢が大事になります。申込は直接市町村役場で申込は出来ますが、口コミなどを見ると、厳しい書き込みも少なくありません。

 

ですから、直接申込に行くより、まず民生委員などに相談してから申込する事をおすすめします。

 

「担当地区で生活困難な状態にある方や、自立して安定した生活を営もうとしている方が居たら、まずは生活福祉資金貸付制度を紹介してみましょう。」と書かれているので、まずは民生委員に相談し、出来れば福祉協議会へ同行してもらいましょう。


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