大手の消費者金融は銀行系の業者が多いって本当?

大手の消費者金融は銀行系の業者が多いのが事実なのか検証してみた!

大手の消費者金融の多くは銀行の傘下に入っています。中小の業者を除けば、ほとんどが銀行系列の会社です。銀行系列になっている業者には多くのメリットがありますが、利用にあたっては注意すべきこともあります。

 

 

大手消費者金融は銀行系の業者になっている

大手業者と銀行

消費者金融といっても、独立した会社として営業しているところは中小の業者で、大手のほとんどは銀行の傘下に入っているグループ企業・子会社です。

 

アコムやプロミスが「銀行系」などと呼ばれることがありますが、どちらも銀行の傘下に入っているからです。

 

日本では銀行が倒産するリスクは非常に低いため、バックに銀行の存在がある消費者金融は、利用にあたっても安心感があります。

 

大手消費者金融と親会社の銀行
業者名 系列となる銀行
プロミス 三井住友銀行グループ
アコム 三菱UFJファイナンシャル・グループ
SMBCモビット SMBCグループ(三井住友銀行系列)
レイクALSA 新生銀行
ノーローン 新生銀行
ジェイスコア みずほ銀行
アイフル なし

 

2006年からいわゆる「グレーゾーン金利」と呼ばれる高金利の貸付が撤廃されて、過払い金返還請求訴訟が相次いだため、消費者金融は業績が悪化しました。あおりを受けて武富士のように倒産に追い込まれた業者もあります。

 

この頃からプロミスやアコムが銀行系列に入るようになっています。

 

アイフルが唯一、銀行の支援を受けずに立て直しに成功しています。

 

グループ内でサービスを共有している

消費者金融が銀行の傘下に入ってことによって、サービスが共有されることになりました。たとえば、プロミスはSMBCグループの一員ですので、三井住友銀行の支店内に設置されているローン契約機で申し込みすることができます。

 

SMBCモビットも同様に、三井住友銀行のローン契約機を使うことが可能です。また、プロミスの自動契約機を使って三井住友銀行カードローンの契約もできます。これは三菱UFJ銀行とアコムの関係においても同様です。

 

消費者金融とすると、銀行との業務提携は資金面での問題を解消するだけでなく、銀行のネームバリューを使って新規の顧客を開拓することもできます。銀行の顧客層にアピールして、消費者金融の手軽さや使い勝手の良さを知らしめることが可能になっています。

 

これは銀行側にも言えることで、消費者金融業者を足がかりにして銀行の顧客を取り込めることにもなります。元々、銀行と消費者金融は金融業界では棲み分けをしていました。企業や会社相手は銀行、個人消費者相手は消費者金融とそれぞれに顧客層は異なっていました。

 

銀行とすると、日本そのものが小さくなっていくなか、新規の顧客を開拓するためには個人向け融資に力を入れざるを得ません。そういったときに、消費者金融が持っているノウハウは貴重なものでした。今では、互いに資金やノウハウ、サービスを提供し合うことで共存共栄という立場になっています。

 

アコムが三菱UFJ系列になった経緯

アコムは1936年に丸糸呉服店として創業されています。消費者金融となったのは1978年で、消費者金融としては老舗です。その後は以下のような経緯で三菱UFJ系列となったという歴史があります。

 

・1994年10月:東証二部に上場

 

・1996年12月:東証一部に上場

 

・2004年2月:MUFG(三菱UFJファイナンシャル・グループ)と資本業務提携

 

・2008年10月」MUFGによる株式公開買付

 

・2008年12月:MUFGの連結子会社

 

アコムは今でも丸糸殖産やマルイト株式会社が大株主です。正式に銀行系列となったのは2008年からです。今でも上場企業ですが、筆頭株主はMUFGです。

 

業界初の年中無休・24時間稼働のATMを設置した業者であり、業界初の無人契約機を設置した業者でもあります。常に業界ではトップランナーで、今でも契約者数は日本一です。信用保証会社としての実績も高く、多くのローン事業、クレジットカード事業に参加しています。

 

プロミスがSMBCグループになった経緯

プロミスは1962年に関西金融株式会社として設立されました。アコムとは違って、最初から「お金を貸す専門会社」です。

 

1963年に商号を変更し、さらに1978年にプロミスという商号を使っています。その後は以下のような経緯で三井住友銀行グループの系列となっています。

 

・2005年1月:SMFGとの業務提携

 

・2011年10月:SMFG(三井住友ファイナンシャル・グループ)に第三者割当増資を実施

 

・2012年4月:SMFGの完全子会社

 

・2012年7月:社名をSMFGコンシューマー・ファイナンスに変更

 

プロミスで注目されるのは、創業からずっと金融会社であったという点です。創業から20年で業界を代表する大手に成長しています。

 

基本的な理念として、「銀行からお金を借りることができずに志を閉ざす人や、元手がないというだけでいつまでも前に進むことができない人」にお金を貸してあげるというものがあります。

 

社会に貢献できる一般向けの金融機関というのがプロミスの経営理念で、CMにもその姿勢は現れています。

 

銀行の保証会社が消費者金融

消費者金融が銀行の子会社となった経緯には、消費者金融側の経営難という事情もある反面、銀行側にとっても大きなプラス面がありました。

 

それは、消費者金融が長年にわたって「個人消費者向けに貸出業務をしてきた」ことを背景に、個人向けの審査のノウハウが蓄積されていたことです。

 

大手の消費者金融には膨大なデータが蓄えてあり、それを元に審査を行っています。どういった業種のどういった場所にある会社で、どのような仕事をしているのか分かれば、申込者のおおよその年収を当てることができるというレベルです。

 

かなりの精度があり、これは長期にわたるリサーチがないと不可能です。銀行は企業や会社だけを相手にするのではなく、個人向けの融資をしたいと考えていました。

 

そういったときに、ノウハウを持った消費者金融を保証会社として迎え入れると、蓄積されたデータをまるごと使えることになります。そのため、表向きは銀行のカードローンでも、保証会社が消費者金融というのは事例として多くあります。

 

たとえば以下の銀行の保証会社はすべて消費者金融です。
銀行 保証会社
三菱UFJ銀行 アコム
セブン銀行 アコム
じぶん銀行 アコム
ソニー銀行 アコム
三井住友銀行 SMBCコンシューマー・ファイナンス
ジャパンネット銀行 SMBCコンシューマー・ファイナンス
横浜銀行 SMBCコンシューマー・ファイナンス
福岡銀行 SMBCコンシューマー・ファイナンス
りそな銀行 オリコ
みずほ銀行 オリックス・クレジット
東京スター銀行 新生ファイナンシャル

 

SMBCグループはプロミスのことです。アコムとプロミスは個人向け融資では高い実績があるため、数多くの銀行の保証会社を担当しています。

 

アイフルの独自性

このように、大手の消費者金融各社が銀行の傘下に入って子会社化するなか、アイフルは独自性を保っています。設立は1967年で、最初から消費者金融として始まっています。1982年に関連会社3社を統合してアイフルとなりました。

 

本社は京都市にありますが、全国に支店のネットワークを築いており、株式は1997年に店頭公開されて1998年のに東証二部、2000年に東証一部に上場されています。

 

アコムが三菱UFJグループ、プロミズは三井住友グループである一方で、アイフルは大手のメガバンクには属していません。そのために、親会社の意向に左右されることなく、自由ね経営や独自性の高い審査基準を設けることができるというメリットがあります。

 

独自の顧客サービスを自分で開発して投入し、支持されてきた歴史があります。古くから金貸し業は世間の批判を浴びやすい傾向がありますが、そのなかで生き残ってきたしぶとさは、株式市場でも高く評価されています。

 

アイフルの独自性を表したものとして、女性専用ローンがあります。限度額は控えめで、専用ダイヤル・専用カードを提供し、女性が利用する際に抱える不安を払拭するサービスを提供しています。

 

消費者金融と銀行の相互依存関係とは

貸金業法の改正

消費者金融と銀行が提携するようになった要因のひとつが貸金業法の改正です。2006年2月に国会で可決し、2010年6月に完全施行されています。目的となるのは多重債務抑制で、元々の貸金業法から抜本的に改正されています。

 

総量規制の導入

年収の3分の1を超える額の融資を禁止する法律です。これ以前は業者が過剰な貸付を行うことで自己破産者が増加するなど、社会問題となっていました。借りすぎ・貸しすぎを防ぐための法律です。

 

借入希望額が50万円を超えるか、もしくは複数社と併せて100万円以上になる借入で、必ず収入証明書を提出することになったのも、この法律ができてからです。

 

上限金利

貸金業法が改正される以前は、利息制限法では上限20%、出資法では上限29.28%という金利が適用されていました。そのため、利息制限法を超えた分の利息は無効とされていたものの、出資法を基準として高金利の貸付が行われていました。

 

そのために、借金苦に陥る人が大勢出てしまいました。そのため、ここに法的な罰則を取り入れ、さらに利息制限法・出資法ともに上限が20%とされました。

 

貸金業者への規制

貸金業務取扱主任者を営業所に必ず配置するといった貸金業者への規制が厳格化しています。

 

以上の改正によって貸金業者は大きなダメージを受けます。既存の顧客だけでなく新規の顧客の獲得にも苦慮するようになりました。

 

さらに、貸金業法が改正されたことによって、従来の出資法を基準とした金利で借入していた人が、利息制限法を超える分の利息を違法として返還請求ができるようになりました。

 

過払い金請求はあまりに多数で高額であったため、消費者金融は大きな赤字を抱えます。その経営難を乗り切るための手段が銀行傘下へ入ることでした。

 

ノウハウを銀行が活用したい

銀行としても、消費者金融の持っているノウハウは貴重でした。銀行も長年の不況によって経営が悪化していました。銀行も基本的には金貸しであって、お金を借りてくれる相手がいなければ成り立ちません。

 

銀行は主に企業や会社を相手にしていますが、こういった組織がお金を借りてくれないという状況になっていました。このときに、個人向けの融資を実施して収益を上げようとして、消費者金融の持っているノウハウを活かすために、消費者金融を子会社化して取り込んだという経緯があります。

 

消費者金融が持っている貸付業務のノウハウ、回収のノウハウはそれまでの銀行が持っていなかったものです。このような経緯があって、消費者金融と銀行の相互依存の関係ができあがったのです。

 

消費者金融が銀行の傘下として何をしているのか
  1. 債権の回収

    消費者金融が銀行の傘下として行っている業務のひとつが回収業務です。銀行は個人向け融資で焦げ付いた貸付を回収するノウハウを持っていません。そこで消費者金融が保証会社となって、債権を渡して回収させるということをしています。

     

    銀行にとっては債権回収の手間が省けますし、貸し倒れの際は保証会社が代位弁済を行うので銀行はリスクを回避できます。

  2.  

  3. カードローンの審査

    消費者金融は銀行の保証会社となって、カードローンの審査を代行しています。消費者が銀行にカードローンの申し込みを行うと、信用情報機関へ照会して信用情報をチェックします。銀行は全国銀行個人信用情報センターへ加盟しています。

     

    消費者金融のほうはJICCに加盟していますが、銀行はこちらの情報を照会する手立てがありませんでした。つまり、個人の信用力を調査できる手段がなかったということです。

     

    そこで消費者金融が個人の借入に関する情報を照会することによって、事実上の審査が可能になっています。大手の消費者金融は精度の高い審査システムを持っており、スピーディで正確な審査ができます。

 

銀行系列の消費者金融のメリット・デメリット

メリット

安定した経営が可能に

銀行系列の消費者金融は、経営が安定していると消費者のほうも考えます。日本人にとって、三井住友銀行や三菱UFJ銀行は非常に大きな銀行であって、倒産するリスクはほぼないと考えます。世界的にも日本は銀行への信頼度が高い国で、それが相互の信頼感の深い国民性にも現れています。

 

アコムは三菱UFJ銀行の系列と聞いたら、誰もが安心感を持つでしょう。それほど大きな銀行が親会社ならば、無茶な取り立てをしたり、法外な金利で貸し付けられたりすることはないだろうという感じを持ちます。

 

銀行のイメージを利用できる

消費者金融に対するイメージは決して良いものではありませんでした。「金貸し」「サラ金」という悪いイメージを持っている人は今も多くいます。消費者金融が一番に目指しているのは、こういった悪いイメージの払拭です。

 

消費者金融は決して悪者ではなく、生活に根ざした庶民のための金融機関なのだということを分かってもらう必要があります。それには、銀行のイメージを利用するのが手っ取り早いでしょう。アコムといっても、実際には三菱UFJなんだとアピールされることで、利用者は安心感を覚えます。

 

デメリット

同じ保証会社での審査で不利

消費者金融が銀行の保証会社になっていることによるデメリットもあります。何かのカードローンの返済でトラブルを起こしたとき、その情報は保証会社に蓄積されます。もし、他のローンに申し込んでも、同じ保証会社が付いているローンであれば、審査で決定的に不利でしょう。

 

たとえば、アイフルは福岡銀行の保証会社です。福岡銀行の提供するローン商品で何らかのトラブルを起こした人は、同じ保証会社が付いている三井住友銀行のローンの審査に悪影響が出ます。

 

社内ブラックとして情報が共有される

上記と同様ですが、返済におけるネガティブな情報は、保証会社で長年保存されることがあります。債務整理をすると、個人信用情報機関の情報は5年間で抹消されます。

 

5年待てばキレイな状態になりますが、債務整理をした相手先の保証会社と同じ保証会社が付いているローンを申し込んだとき、社内ブラックになっていると、審査で不利をこうむるリスクがあります。

 

まとめ

銀行と消費者金融は、カードローン提供を通じて保証会社と銀行という関係で相互依存しています。そのため、同じ保証会社が付いているローンの審査で影響を与える可能性があります。

関連ページ

金利にこだわる人におすすめしたい消費者金融3選~金利を知ってかしこく借入する方法
消費者金融の金利と利息の仕組みを知って賢く借りよう
消費者金融から銀行カードローンへ借り換えたい おすすめの方法は?
消費者金融とクレジットカードのキャッシングって何が違うの?
消費者金融の賢い返済方法とは? 無駄な利息をカットしよう
消費者金融の限度額の決め方は? 増額ってどうやるの?
消費者金融の審査に落ちる3つの理由と対策方法
消費者金融の審査の必要書類は? 収入証明書は提出するの?
消費者金融は審査で何を見ている?審査落ちしないための7項目と4つの通るコツ
消費者金融は保証人が要らない? 連帯保証人になることもないの?
消費者金融を会社や家族にバレないように使うには?
低金利で消費者金融を使いたいなら?利息が安いローン活用前に押さえておくべき3項目
消費者金融に年齢制限はあるの?未成年はNG?
消費者金融の申込から契約までの流れ
消費者金融の無人契約機の営業時間は?
消費者金融は何社までOK?4社から借るのは不可能?
消費者金融を使うメリットデメリットとは?上手な使い方は?
なぜ消費者金融を使うのか?利用者の特徴や理由を調べてみると?
消費者金融のおすすめポイントを徹底比較
審査が早い消費者金融はどこ?審査のスピードアップのコツも伝授
本当に消費者金融から総量規制以上は借りられないの?
大手と中小の消費者金融ではどんな違いがある?両社の特徴を比較

×